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実演家の出演契約書

実演家の出演契約関係をめぐる諸問題

劇団、楽団と歌手や演奏家などの実演家の出演契約が打ち切られた場合、そもそも劇団との出演契約が労働契約だったのか、 委任契約(業務委託契約)のような性質のもの(あるいは類似の無名契約で民法の適用のみ考えればよいもの)だったのかが、 実演家の労働者性をめぐって争われることになります。
この点を考えるうえで以下の過去の裁判例が参考になります。

過去の参考判例

「新国立劇場合唱団員出演基本契約更新拒絶事件」
 東京地裁平成18年3月30日平成17(ワ)4266地位確認等請求事件

■事案

1年間の出演基本契約を打ち切られたソプラノ歌手が、労働契約上の地位の確認を求めた事案です。

原告:二期会オペラ合唱団ソプラノ歌手
被告:新国立劇場

■結論 請求棄却

■争点

条文 労働基準法18条の2、労働組合法7条1号

出演基本契約は労働契約か(否定)

■判決内容

<争点>

出演基本契約は労働契約か(否定)

労基法上,労働者とは,職業の種類を問わず,事業又は事務所に使用される者で,賃金を支払われる者をいい(同法9条),賃金とは,名称の如何を問わず,労働の対償として使用者が労働者に支払うものをいう(同法11条)とされているところ,同法の立法趣旨等からすると,この「労働者」とは,「使用者」との間の契約の形式を問わず,実質的に事業主の支配を受けてその規律の下に労務を提供し(指揮監督下の労働),その対償として事業主から報酬を受ける者をいうと解すべきである。そして,指揮監督下の労働であるか否かの判断は,仕事の依頼や業務に従事すべき旨の指示等に対する諾否の自由の有無,業務遂行上の指揮監督の有無,場所的時間的拘束性の有無,代替性の有無等を,また労務対償性については報酬の性格を検討し,さらに,当該労務提供者の事業者性の有無,専属性の程度,その他の事情をも総合考慮して判断するのが相当である。
(8頁)

との一般論を裁判所は示したうえで、ソプラノ歌手が締結した劇場との出演基本契約が労働契約なのか(ソプラノ歌手は労働基準法上の労働者となるのか)について検討。

結論としては、

(1)仕事依頼等の諾否の自由があった
(2)業務遂行上の指揮監督、時間的・場所的拘束は舞台芸術の
   集団性から必然的に生じるものであること
(3)メンバーの非代替性は業務内容の特性による
(4)事実上の専属性も認められない
(5)本番出演料は拘束時間とは関係なく定額であり報酬全体と
   しての労務対価性を肯定できない

こうした点から、ソプラノ歌手の労働者性、出演基本契約の労働契約性が否定されました。

最高裁判例(財団法人新国立劇場運営財団救済命令取消事件)

最高裁平成23年4月12日平成21(行ヒ)226不当労働行為救済命令取消請求事件判決

結論:破棄差戻し

裁判要旨:年間を通して多数のオペラ公演を主催する財団法人との間で期間を1年とする出演基本契約を締結した上,各公演ごとに個別公演出演契約を締結して公演に出演していた合唱団員が,上記法人との関係において労働組合法上の労働者に当たるとされた事例

原審:東京高裁平成21年3月25日平成20(行コ)303

参考判例

チボリ・ジャパン事件
岡山地裁平成13.5.16判決平成11年(ワ)948
 *吹奏楽団員の出演契約の更新拒絶について

大映映像賃金事件
東京高裁平成5.12.22判決平成5(ネ)2278
 *エキストラの映像制作会社との雇用契約の成否について

読売交響楽団事件
東京地裁平成2.5.18判決昭和62(ワ)5194雇用関係確認請求事件
 *ソロチェリストの楽団との労働契約の終了について

中部日本放送(CBC)事件
最判昭和51.5.6昭和49(行ツ)112不当労働行為救済申立棄却命令取消請求事件
 *民間放送会社の放送管弦楽団員が労働組合法上の労働者と認められた事例

参考文献

永野秀雄、沼田雅之、根岸忠、君塚陽介
「芸術家等の地位向上のための基盤整備に関する研究
  日米における実演家の出演契約に関する研究報告」『労働法律旬報

(1)1639、1640号合併号75頁以下(2007)
  一章 本研究の目的および分析の対象・方法
  二章 労働法の観点からみた俳優のテレビ出演契約書の問題点
  三章 劇団・映画・ミュージシャン・モデルの契約とその問題点
  四章 出演契約における実演家の知的財産権について
  資料 契約書集

(2)1641号69頁以下
  五章 実演契約に関する総括
  六章 米国の俳優契約約款の分析と解説

(3 完)1642号28頁以下
  七章 米国の芸能実演家組合と諸制度


根岸 忠「合唱団所属の歌手の労働者性判断」『労働法律旬報』
       1649号81頁以下(2007)

大内伸哉「合唱団員の労働者性 新国立劇場運営財団事件」
      『ジュリスト』1333号141頁以下(2007)

山口 毅「急増する個人請負の労働問題 システムエンジニア等は労働者か?」(2009)