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パクリ、盗作、模倣と創作性、著作権

創作性、オリジナリティと著作権

オリジナリティというのは、いったいどう判断すればいいのでしょう。
大学生の頃ですが学部生、院生時代とわたしの指導教授だった川端博先生(刑法学)からは、

「学問をするうえで必要なのは、語学と歴史に対する認識である。自らの学説のプライオリティを主張するためには、先人の業績を正しく踏まえなければならない。」

という趣旨の話を折に触れて伺ったものです。

創造性(創作性、独創性)のある業績の評価は、歴史のなかに置かれてはじめて正当に評価されます。歴史の評価に耐えられる業績であってはじめてみずからのオリジナリティがみとめられるのだと思いますが、それには長い年月がかかりそうです。
オリジナリティとはなにか、ということを考えるにあたっては、模倣・再創文化論について、山田奨治「日本文化の模倣と創造―オリジナリティとは何か」(角川選書 2002)、知財(著作権や特許権を含めて)と創造性について言及した宮武久佳「知的財産と創造性」(みすず書房 2007)や「作者」概念についての論考であるソーントン不破直子「ギリシアの神々とコピーライト 「作者」の変遷、プラトンからIT革命まで」(學藝書林 2007)、音楽における「作者」論について、増田聡「その音楽の〈作者〉とは誰か リミックス・産業・著作権」(みすず書房 2005)などが参考になります。

ところで、著作権法上の「創作」性については、「ありふれたものではない」という程度のものであれば良いわけなので、「子どもが書いた絵でも著作権が発生する」と比喩的に語られる反面、現実の金銭がからんだ紛争場面では「この著作物を著作権として保護しても良いか?」という政策的な価値判断も加わってきますので、たいへん難しい問題をはらむことになります。
著作権をめぐるたくさんの裁判例をみることで、あるいはワイドショーネタになった「パクリ疑惑」「盗作事件」を通して、わたしたちは自身の創作行為の実質が透けて見えてくる(その結果としての、他者の創作物への敬譲の念が生まれる)のではないでしょうか。

盗用、剽窃と創造との境界を論考するものとして、弁護士永田眞理先生による「大作家は盗作家(?) 剽窃と創造の谷間を考える」(こう書房 1981)、 播磨良承教授「模倣と創作-著作権法案内-」(ぺんぎん出版 1981)、日本文学における盗作問題について、 竹山哲「現代日本文学「盗作疑惑」の研究 「禁断の木の実」を食べた文豪たち」(2002)参照。模倣の現状については、浜野保樹 「模倣される日本-映画、アニメから料理、ファッションまで」(2005)参照。
最近の盗作事件については、「「パクリ・盗作」スキャンダル読本」(別冊宝島1257号 2006)が詳しく、また美術品贋作事件については、大島一洋「芸術とスキャンダルの間 戦後美術事件史」(講談社現代新書 2006)、あるいは著作権問題などで「封印作品」となってしまった著作物について、安藤健二「封印作品の闇 キャンディ・キャンディからオバQまで」(大和書房 2007)があって著作権をめぐる人間模様がよくわかります。
新刊本としては、栗原裕一郎「<盗作>の文学史 -市場・メディア・著作権」(新曜社 2008)があり、索引も充実していて、年表も掲載されています。