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出版社/出版者と著作権

出版社(出版者)の著作権をめぐる問題

雑誌や書籍などの制作現場では、広告代理店のほかにデザイナー、ライター、エディター、カメラマン・・・とたくさんのかたが携わるわけですが、とくに作家さん(著者)の持ち込んだ写真やイラストを信頼してそのまま出版物に利用するというのが著作権との絡みで出版社、編集プロダクションにとってとてもハイリスクな状況となっています。
出版をめぐる著作権問題としては、最近の判例でいくつかあげると以下のようなものがあります。

・小学校学習教材イラスト事件 *出版社の責任肯定
東京地裁平成28.6.23平成26(ワ)14093著作権侵害差止等請求事件

・著作権判例百選編集事件(保全異議申立事件) *出版社の責任肯定
東京地裁平成28.4.7平成28(モ)40004保全異議申立事件

・「生命の實相」収録論文事件(控訴審) *出版社の責任一部肯定
知財高裁平成28.2.24平成27(ネ)10062著作権侵害差止等請求控訴事件、同附帯控訴事件

・「ツェッペリン飛行船と黙想」事件 *出版社の責任否定
知財高裁平成28.1.27平成27(ネ)10022損害賠償等請求控訴事件

・カラー版怪獣ウルトラ図鑑復刻版事件 *出版元の過失否定
東京地裁平成28.1.21平成27(ワ)15005著作権侵害差止等請求事件
知財高裁平成28.6.29平成28(ネ)10019著作権侵害差止等請求控訴事件

・JAXAスペースプレーンイラスト事件 *出版元の過失否定
東京地裁平成27.12.25平成27(ワ)6058著作権侵害差止等請求事件

・錦絵画像無断複製事件 *出版元の過失否定
大阪地裁平成27.9.24平成27(ワ)731損害賠償請求事件

・「実話大報」風俗記事翻案事件(控訴審) *出版元の過失肯定
知財高裁平成27.5.21平成26(ネ)10003損害賠償請求控訴事件

・幻想ネーミング辞典事件 *出版社の過失肯定
東京地裁平成27.3.26平成25(ワ)19494著作権侵害差止等請求事件

・アニメ「三人の騎士」DVD事件(対出版社) *出版元の過失肯定
東京地裁平成27.3.16平成26(ワ)4962著作権及び商標権侵害差止等請求事件

・「実話大報」事件 *出版元の過失肯定
東京地裁平成25.11.28平成24(ワ)3677著作権侵害損害賠償等本訴、ブログ記事抹消等反訴請求事件

・書籍「週刊 ホンダ CB750FOUR」事件 *出版元の過失肯定
  東京地裁平成25.7.19平成23(ワ)785著作権侵害差止等請求事件

・「風にそよぐ墓標」事件 *出版元の過失肯定
東京地裁平成25.3.14平成23(ワ)33071著作権侵害差止等請求事件
知財高裁H25.9.30平成25(ネ)10027著作権侵害差止等請求控訴事件

・「基幹物理学」書籍出版事件 *出版元の過失肯定
東京地裁平成25.3.1平成22(ワ)38003出版差止等請求事件

・幼児教育教材絵本事件  *出版元の過失肯定
東京地裁平成24.3.29平成23(ワ)8228出版差止等請求事件

・「中国の世界遺産」DVD事件(控訴審)  *出版社の過失肯定
知財高裁平成24.2.28平成23(ネ)10047損害賠償等請求控訴事件

・「北朝鮮の極秘文書」損害賠償請求事件  *出版社の過失肯定
東京地裁平成24.1.31平成20(ワ)20337損害賠償請求事件

・「合格!行政書士 南無刺青観世音」入れ墨事件(控訴審)*出版社の過失肯定
知財高裁平成24.1.31平成23(ネ)10052損害賠償請求控訴事件

・マンモスCT画像3DCG事件  *出版社の過失肯定
東京地裁平成23.11.29平成22(ワ)28962著作権侵害差止等請求事件

・「合格!行政書士 南無刺青観世音」入れ墨事件  *出版社の過失肯定
東京地裁平成23.7.29平成21(ワ)31755損害賠償請求事件

・「中国の世界遺産」DVD事件 *出版社の過失肯定
東京地裁平成23.7.11平成21(ワ)10932損害賠償請求事件

・「入門漢方医学」書籍表紙デザイン翻案事件  *出版社の過失肯定
東京地裁平成22.7.8平成21(ワ)23051著作権侵害差止等請求事件

・「箱根富士屋ホテル物語」事件  *過失肯定
東京地裁平成22.1.29平成20(ワ)1586著作権侵害差止等請求反訴事件

・「写真で見る首里城」写真集事件  *過失肯定
那覇地裁平成20.9.24平成19(ワ)347号著作権侵害差止等請求事件

・八坂神社祇園祭ポスター事件  *過失肯定
東京地裁平成20.3.13平成19(ワ)1126損害賠償請求事件

・東京アウトサイダーズ事件(控訴審)  *過失肯定
知財高裁平成19.5.31平成19(ネ)10003等出版差止等請求控訴事件,同附帯控訴事件

・サライ写真著作権事件  *過失肯定
東京地裁平成19.5.30平成17(ワ)24929損害賠償請求事件

・共同執筆論文著作権侵害事件  *過失否定
東京地裁平成19.1.18平成18(ワ)10367著作権侵害差止等請求事件

・教科書副教材著作権侵害事件(控訴審)  *責任肯定
知財高裁平成18.12.6平成18(ネ)10045損害賠償請求控訴事件

・中小企業診断士試験用予備校教材事件  *過失肯定
東京地裁平成18.11.15平成18(ワ)4824等損害賠償請求事件

・江戸庶民風俗図絵模写ー豆腐屋ー事件  *責任否定
東京地裁平成18.5.11平成17(ワ)26020損害賠償請求事件

・法律書籍著作権侵害事件  *過失肯定
知財高裁平成18.3.15平成17(ネ)10095損害賠償等請求控訴事件

・法律書籍イラスト事件  *過失肯定
東京地裁平成17.6.23平成16(ワ)16957著作権民事訴訟事件

・法律受験予備校事件  *過失肯定
東京地裁平成16.6.25平成15(ワ)4779著作権民事訴訟事件

・ホテルジャンキーズ事件  *過失肯定
東京高裁平成14.10.29平成14(ネ)2887、4580著作権侵害差止等請求控訴事件等

・絶対音感事件  *過失肯定
東京高裁平成14.4.11平成13(ネ)3677等著作権民事訴訟事件

・建築エスキース事件  *過失肯定
東京高裁平成13.9.18平成12(ネ)4816著作権侵害差止等請求控訴事件

・ぐうたら健康法事件  *過失否定
東京地裁平成7.5.31平成5(ワ)2444謝罪広告等請求事件


出版社の著作権をめぐる紛争では、出版社は直接的な当事者としての侵害の場合だけでなく、間接的な侵害の場合の責任を問われる場面もあります。出版物の回収や廃棄が求められると損害は重大です。
出版社や編プロが書籍や雑誌に写真やイラストを使用するにあたって、著作権者や著作者に直接確認したかどうか注意義務が課される場合があって、出版現場の感覚では捉えきれないような判断が裁判所から下されている現実があります。

ところで、出版社自身が直接著作物を取扱う場合と、原作者の持込み著作物の場合(写真なども含め)があって場面も様々です。
前者の場合は、利用する著作物の著作者や著作権者が誰か、許諾を得ているかといった部分についての注意義務が出 版社に課されるのは当然として、後者の場合は、どのような場合に出版社が直接確認しなければならないのか、判断が難しい 場合があります。とくに、編集プロダクションや代理店が中間に入っている場合はなおさらです。
裁判所の判断の一般的傾向が語れるところではないのですが、出版社が専門図書を取扱う場合(美術誌発行社につき、樹林事件 東京地裁平成2.4.27判決)は注意義務が 重くなりますし、後者の場合でも比較的厳しく判断していますので注意が必要です。

なお、筆者主体の専門家性の観点からみてみると、筆者が弁護士(日照権事件 東京地裁昭和53.6.21判決)、民俗文化財専門家 (豊後の石風呂事件 東京地裁昭和61.4.28判決)であっても出版社に調査義務を課すものがある一方、 医学部教授の持込み企画原稿に調査義務を認めなかった事例(医学部助手氏名脱漏事件 千葉地裁昭和54.2.19判決)もあるので、 ケースバイケースといえます(松田政行「著作権等の侵害による損害」『裁判実務大系27 知的財産関係訴訟法』(1997)358頁以下参照)。
また、出版社の大小からすると、日照権事件が中出版社、地のささめごと事件(東京地裁昭和55.9.17判決)は大出版社、樹林事件は中ないし小出版社、 ぐうたら健康法事件は小出版社ですが、ぐうたら健康法事件では、地方の小出版社であること、執筆者が地方では名の知れた医師であることなどを理由に 出版社の調査義務を否定しています(大家後掲論文参照)。

参考文献

布川角左衛門、美作太郎「著作権・出版権問答」(1965)
美作太郎「著作権 出版の現場から」(1984)
半田正夫「転機にさしかかった著作権制度」(1994)188頁以下
宮田昇「新・翻訳出版事情-著作権の周辺-」(1995)
大家重夫「著作権侵害、名誉毀損における出版者の責任-出版者の注意義務-」
       『久留米大学法学』32、33号合併号(1998)219頁以下
青柳?子「出版者の責任」『知的財産法と現代社会-牧野利秋判事退官記念-』(1999)447頁以下
宮田 昇「翻訳出版の実務 第三版」(2000)
亀井正博「製作者の責任ーパックマンもどき事件」
       『著作権判例百選第3版』(2001)214頁以下
豊田きいち「著作権と編集者・出版者」(2004)
豊田きいち「編集者の著作権基礎知識 第五版」(2005)
三山裕三「新版改訂著作権法詳説 判例で読む16章」(2005)301頁以下
日本写真家協会監修「写真著作権2005 改訂版」(2005)
作花文雄「著作権法講座 第2版」(2008)
堀田貢得、大亀哲郎「編集者の危機管理術名誉・プライバシー・著作権・表現」(2011)

参考サイト

社団法人 日本書籍出版協会