遠隔授業と著作権

2020年4月の新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言もあり、対面ではない、インターネットを活用した遠隔授業の取り組みが加速され、今後ますます対面授業からネット授業の機会が増えてくるものと思われます。

以下、教育現場等での遠隔授業の際の著作権の視点からの留意点について簡単に触れたいと思います。

1 前提理解

・引用(著作権法32条)に該当すれば、ネット配信でも、複製でも、自由です。
・今まで通り、教育現場でその場で使用するために、教師や生徒が「複製」することは自由です(著作権法改正前からの35条)。
・著作権法35条の改正によって補償金の支払いにより作成した教材をサーバーなどに保存して児童、生徒、学生に配信したり、使い回しが可能となりました(ネット配信が可能になった)。
・著作権法35条の補償金は、児童、生徒、学生から徴収され、教育委員会、学校経由でサートラスに支払われ、権利者に使用料が分配されます。なお、2020年度は補償金徴収は0とされています。

「改正著作権法第35条運用指針(令和2(2020)年度版)」を公表
一般社団法人授業目的公衆送信補償金等管理協会(SARTRAS、サートラス)/著作物の教育利用に関する関係者フォーラム
https://forum.sartras.or.jp/info/004/

2 いくつかの例

1.ZOOMを使った授業で次のようなスライド(パワーポイント)使用する。
(ア)出典を記載して企業のホームページ画像を紹介する。

→通常、引用として適法。また、教育目的使用なら適法。

(イ)有名人の顔写真を紹介する。その際にも出典は記載する。

→通常、引用として適法。また、教育目的使用なら適法。

(厳密にいえば、有名人の顔写真がなくても教材コンテンツは成立するので、ストックフォトから有料で写真をレンタルするのが筋、といえば、筋にはなります。)

さらに細かく解説すると、

1)有名人の顔写真をみせて、人相分析をする授業
→顔写真が必須なので「引用」として無許諾使用が可能

2)有名人の顔写真をアイキャッチとして紹介するだけ

→2-1)引用ではない。そのため、厳密には、写真家の許諾が必要になる。
ただ、それも態様次第という意味ではグレーゾーン(違法だが損害賠償を受けるほどではない)として使用可能。

→2-2)引用ではないが、教育目的使用なら適法。

  1. 白書などのデータを用いて、表やグラフを作成して表示する。その際にデータの出所は記載する。

→データ自体に著作権はないので、データをいかに加工しても、ネット送信しても、そもそも自由、適法。
(なお、意匠を凝らした棒グラフや表をそのままコピペする場合は、著作権が発生している可能性がある。)

  1. 論文や著書の内容の一部を抜粋してスライドに加工して紹介する。その際に出所は記載する。

→通常、引用として適法。また、教育目的使用なら複製、ネット配信しても適法(引用にあたらなくても)。

 4.市販のドリルを複製、ネット配信することはできません(本来、児童、生徒の人数分購入するべきものは対象外です)。

 5.絵本の読み聞かせは、教育現場や家庭内で行うことは適法です。もっとも、教育現場を離れ、また、個人的に善意でネットに読み聞かせの動画をネットにアップして多数者の視聴が可能な状態にすることは違法です。

「絵本の読み聞かせと著作権」https://ootsuka-houmu.com/reading-2/

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